日向夏は、世界でも珍しい異色の柑橘です。
その果色・果肉・香り・味のすべてが他の柑橘に類をみない独特なものと言えます。
その特徴は一般的な柑橘とは少し違った食し方にもあります。日向夏は皮を指でむくようにして食べると、特有の美味しさを感じることができません。
りんごの皮むきをするように外果皮のみを薄くむき、ふかふかの白皮(アルベド)と一緒に食べるのが特徴です。
ほんのり甘みのある白皮と、爽やかな酸味のある果肉を一緒に食べることではじめて、日向夏の「真の美味しさ」を味わうことができるのです。
日向夏・ひゅうがなつ・日向夏みかん・
ヒュウガナツ・日向夏ミカン・日向夏蜜柑など。
ニューサマーオレンジ(New Summer Orange) 、
スモールサンマーオレンジ (Small Summer Orenge)
のほかに、田村オレンジ・日向小夏・土佐小夏・小夏蜜柑・
などわずかながら使われいます。
シトラス・タムラナ(citrus tamurana Hort.TANAKA)
日向夏蜜柑の学名は、柑橘研究の世界的大家として知られる
田中長三郎博士により、日向夏を世に紹介した功労者である
田村利親氏の名前を記念して
citrus tamurana Hort.TANAKAなる学名が与えられたのです。
▪️2002年出版「日向夏ものがたり」P19より引用
日向夏はその名の通り、宮崎県特産の柑橘です。
江戸時代末期にあたる、文政年間(1818年~1829年)に旧宮崎郡(現宮崎市)の赤江村城ヶ崎に隣接する曽井にて、偶発実生として発見されました。
宮崎市(清武町・高岡町)・綾町・日南市での生産量が全体の約8割を占めており、保温用の袋がけを施すなど冬季の寒害防止栽培方法の進歩で安定供給が可能に。また、発見当初は少し食べにくかったその果実も、品種改良を重ねることで現在のように食べやすい味へと変化しました。
宮崎を代表する「美味しい柑橘」として皆様に愛されるようになったのは、長きにわたった研究の成果であり、今日ある日向夏の存在は携わってきた多くの方々の情熱のたまものとも言えるでしょう。
注)偶発実生とは果樹園芸上の用語。両親は明らかでないが、たまたま実生個体としてみいだされた優秀な形質をもった果樹のこと。
日向夏のおいしさの秘密は、ふかふかの白皮(アルベド)にあります。ほんのり甘みのある白皮と、爽やかな酸味のある果肉を一緒に食べることで、日向夏の独特な風味を楽しむことができます。